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GA4は従来のGoogleアナリティクスと何が違う?進化の背景や導入のメリットをわかりやすく解説
2022/12/022020年10月にGoogleアナリティクスの最新版「Googleアナリティクス4(以下、GA4と略します)」がリリースされました。2023年7月には従来版(ユニバーサルアナリティクス、UA)からGA4に完全に切り替わります。
GA4への移行がまだ済んでいない方にとっては、「GA4とユニバーサルアナリティクスの違いは?」「なぜGA4に切り替わるの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、GA4とユニバーサルアナリティクスの違いや導入のメリットを中心に解説していきます。
GA4とは?
GA4とは、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールのことです。GA4を管理サイトに導入するとWebサイト内におけるユーザー行動を定量的に把握できるようになります。
たとえば、ユーザーの属性や訪問したページ、設定したコンバージョンポイントの達成率、広告効果など幅広いデータ収集に役立ちます。
Googleアナリティクスの変遷
「GA4」とナンバリングされているように、GA4は第4世代のGoogleアナリティクスです。簡単にこれまでの歴史を振り返ってみましょう。
※厳密にいえば、世代は使用されていたタグの種類によって分けられるべきかもしれませんが、ここでは分かりやすさのために大まかな括りで世代を分けています。
第1世代
「Urchin」という有料のアクセス解析ツールがGoogleアナリティクスの起源です。Googleが2005年に「Urchin」を買収したことによって無料で利用できるようになりました。
当時は「Urchin」の名前を踏襲した「urchin.js」というバージョンのタグが使用されていました。
第2世代
クラッシック版としての「ga.js」、非同期版としての「ga.js (dc.js)」というタグが使用されていた時期のGoogleアナリティクスを指します。
2007年にはイベントトラッキングやeコマーストラッキングなど、いまのGoogleアナリティクスでできるような機能が拡充されていきました。また、2009年にはダッシュボードやカスタムレポートの機能が導入されたことによって、分析が容易になりました。
第3世代(ユニバーサルアナリティクス)
ユニバーサルアナリティクスは2012年にコンセプトが発表され、2014年にβ版から正式版になりました。この時期はタグにも変化があり、2014年からは「analytics.js」が、2017年からは「gtag.js」というタグが使用されるようになりました。
メディア横断的な分析やGoogle広告等との連携もスムーズになったのが特徴的です。また、2015年にはアプリ計測に用いられる「Firebase」をGoogleが買収し、Web・アプリを横断的に計測するための下準備が整いました。
第4世代(GA4)
これらの変遷を経て登場したのがGA4です。Webとアプリを統合的に分析できるようになりました。従来までと画面構成・操作感も大きく変化しました。機械学習による予測など最新技術を踏まえて強力なツールに進化しています。
なぜユニバーサルアナリティクスからGA4に切り替わるのか?
ここまで大きな進化の流れについて解説してきましたが、なぜ今回のアップデートが必要だったのでしょうか?大きく分けて2つの観点があります。
- プライバシー尊重の世界的潮流
- 使用デバイスの多様化にともなうユーザー行動の変化
以下、簡単に解説します。
GA4に切り替わる背景1:プライバシー尊重の世界的潮流
世界各国で個人情報保護に関する規制が強化されつつあります。特にEUは早い段階から強い規制を課しており、今後、他の国も追随していくことが予想されます。
こういった潮流を踏まえて、GA4はGDPR(EU一般データ保護規則)、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など世界各国のデータ規制に対応した設計になっています。
CookieやIDなどの情報が制限されつつある中で、ユーザーに関するデータが少ない状況でも、機械学習によりデータを最大限に活用できるよう設計されているのです。
GA4に切り替わる背景2:使用デバイスの多様化にともなうユーザー行動の変化
従来であれば、PCでのサイト閲覧とスマホでの閲覧は独立したユーザー行動と考えることもできました。しかし、現在ではPCとスマホを横断的に利用した検索・閲覧行動が一般的となっています。またそれだけではなく、Webとアプリも密接な関係を持つようになっています。
こういったテクノロジーの進化・ユーザー行動の変化に対応したアクセス解析の重要性がますます重要になってきているのです。
GA4では、デバイス横断的なWebサイト解析の機能をアップデートしているほか、アプリのアクセス解析にも対応しています。
GA4を導入するメリット
GA4に切り替わる背景と少し重複する部分はありますが、ここからはGA4導入のメリットについてお伝えしていきます。
メリット1:Webサイトとアプリを統合的に分析できるようになった
旧バージョンのGA(UA)は、Webサイトからのデータ取得しかできませんでした。そのため、自社でWebサイト/アプリケーションを持っていても、UAではWebサイト側しか分析できませんでした。
アプリケーション側の解析を行うには、SDK(Software Development Kit)を用いて別途測定環境を構築する必要がありました。
しかし、GA4ではアプリの情報をFirebase経由で連携し、Webサイトのアクセス情報と統合することが可能になったのです。つまり、Webサイトとアプリの統合的な分析が実現しました。
デジタルチャネル全体のユーザー行動を俯瞰で見られるようになったことにより、従来よりも深い洞察が得られる状態が作られているのです。
メリット2:ユーザー行動をより詳細に分析可能になった
従来、UAでは「セッション」「ページビュー」などの項目を計測してきました。しかしGA4では、ほとんどのユーザーアクションが「イベント」として計測されるようになっています。
「イベント」とは、ページスクロールやクリックなどのユーザー行動を指します。これらの「イベント」はイベント名とイベントパラメータというかたちで構成されます。
そもそもUAでは、ユーザー側がイベントを設定する必要があったので、自動設定されることを取ってみても、大きな進化と言えるでしょう。
どんなイベントを自動収集してくれるかについては、アナリティクスヘルプにまとまっています。
メリット3:機械学習による分析が可能になった
GA4は、Googleが開発する高度な機械学習モデルを用いることによって、新たなユーザーニーズの発生・高まりなどの重要な傾向を予測できるようになりました。
さらに、ユーザーが将来取るであろう行動も予測することができます。
なお、機械学習モデルを利用するためには一定の条件を満たす必要がある点に注意が必要です。詳細は、アナリティクスヘルプ をご覧ください。
メリット4:BigQueryと連携した分析が可能になった
BigQueryは、2012年からGoogle Cloud Platform(GCP)の製品として提供されているデータウェアハウス(DWH)です。
データウェアハウスとは、直訳すると「データの倉庫」。膨大なデータの整形・加工・分析を可能にするものです。
BigQueryには以下のような特徴があります。
- 大量のデータを高速処理できる
- コストパフォーマンスバランスに優れる
- データベース構築に関する深い専門知識が不要
この中でも、「大量のデータを高速処理できる」ことが最大のメリット。一見するとGA4と何の関係があるのかと感じるかもしれませんが、GA4の生データをBigQueryにエクスポートすることで、より柔軟なデータ分析が可能になるのです。
これまで、BigQueryへの生データのエクスポートはGA360(UAの有料版)でのみ可能でした。しかし、GA4では無料でBigQueryに生データのエクスポートができるのです。
BigQueryと連携した生データは、さまざまな切り口で自在に分析できるようになります。また、BigQueryで管理している他データと統合した分析も可能になります。こうなってくると、単なるアクセス解析ツールの範疇を超え、ユーザー分析ツールと言っても過言ではないでしょう。
メリット5:個人情報保護に配慮したデータの収集が可能になった
GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、世界的に個人情報保護の大きな波が来ており、これは決して避けられるものではありません。
GA4はこうした潮流に対応すべく、個人情報に配慮したアクセス解析ができるようなつくりとなっています。データ収集のみならず、保存期限も明確に定められており、ユーザーごとのデータの保存期間は最大14カ月に制限されています。
まとめ
GA4では、Web-アプリを統合的に分析したり、デバイス横断的な分析ができたりと、従来のUAに比べてより深いユーザーインサイトが得られるつくりに進化しています。
GA4への完全移行が2022年7月と迫りつつあります。なるべく早い段階でGA4を導入したデータ収集を開始し、直前になって慌てずに済むよう準備を整えましょう。